ボディガードが必要だったホイットニー 『CD/ホイットニー・ヒューストン』より ☆☆☆

『CD/ホイットニー・ヒューストン』


ホイットニー・ヒューストンが、ビバリーヒルズのホテルで、2012年2月11日に亡くなったという残念な訃報が伝えられた。

48才だと言う。

まだまだ若過ぎる。

いやはや、ホテルの浴槽に、たった1人で倒れていたということだ。

その死因は、正式な検視結果が出るまでに何週間もかかると言われ、明らかにされていないが、事件性はないということだ。

麻薬の常習使用やアルコール中毒で、思うように声が出なかったということで、死因も、薬物とアルコールの同時摂取との見方が広がっている。

かなり身体が痛んでいたのではないか? 

まあ、失意の中の晩年だと言えるだろう。

ポップスの女王、その世界的な名声に対して、あまりにも淋し過ぎる最後のような気がする。

謹んで、ご冥福をお祈りする。

まあ、おじさん、ホイットニー・ヒューストンについては、それ程、聴き、親しんでいたアーティストではない。

それでも、あの映画『ボディーガード』の魂の叫びのような、いやはや、あの歌声は、マザマザと耳に甦ってくる。

心が鷲掴みにされて、ホント、激しく揺すぶられるようだ。

【オールウェイズ・ラヴ・ユー】

いつもあなたに首ったけということだろうか?

それを、あれだけ絶叫されたら、男冥利につきる。

ケビン・コスナーが羨ましい限りだ。

まあ、それは、さておき、おじさん、この歌については、思い出すことがある。

おじさんが、まだ、チョイワルおやじだった頃のことだ。

その頃、籍を置いていた会社が、大阪梅田新地に、接待用のクラブとして、使い放題という何とも嬉しい年間契約をしていたのだ。

オーナーの税金対策でもあり、とにかく、得意先の接待なら、いくらでも利用していいという、今では考えられないような取り計らいだった。

おじさんも、随分、お言葉に甘えさせていただいたものである。

当時、会社は、地方のお役人さんとのお付き合いが多く、新地のクラブ接待というのは、しごく喜ばれたものである。

とは言っても、このクラブは、新地本通りの、西の果て、ものの10秒も歩けば、新地エリアからはずれれしまうという僻地にあった。

それでも、充分、新地気分は味わえる。

名前をテンプルと言う。

寺院という意味だ。

おじさんたちは、まさしく【新地のはずれ寺院】と呼んでいた。

ことわっておくが、ホステスは、尼僧姿のコスプレではない。

ともかく、思い出したのは、そこにいたホステスのことだ。

年齢はそんなに若くはなかったと思うが、控えめの日本女性を思わせる顔立ちの小柄な女性だった。

ホント、普段は、おとなしく目立たないのだが、淑やかな女性を好む男性には、結構、人気があったと思う。

万事が、本当に静寂な雰囲気を持つ女性だった。

ところが、この女性、カラオケ・ステージに立つと、いつも、このホイットニー・ヒューストンの【オールウェイズ・ラヴ・ユー】を絶叫するのだ。

最初、聞いた時には、おじさん、びっくりしてしまった。

普段の静かな話し声の10倍の音量がある。

間違って、オーディオのボリュームのつまみを、目一杯廻し切ったような音量だ。

歌い終われば、また、慎ましやかな静かな女性に戻る。

いやはや、この、落差たるや。

なんとも度肝を抜かれてしまうのだ。

まあ、そんな理由で、おじさん、おぼろげな記憶の片隅に残っていたのだが、とにかく、ホイットニー・ヒューストンの訃報を聞いて、彼女の記憶が鮮明になった。

どうも、新地のクラブの女性には、華やかな半面、淋しさがとりついているようだ。

彼女だけではなく、多くのホステスがそうなのだが、女性の1人暮らしが圧倒的に多い。

客とは、いかにも明るく嬌声をあげ騒ぐが、本当は、店での人間関係から離れると、意外に、友達も少ないのが現実だ。

彼女もマンションでの1人暮らしだったように思う。

ボディガードと言えば、犬のチワワが待っているだけだ。

実は、家に帰れば、アルコールにまみれた淋しい暮らしをしていたのではないか?と思い返したりする。

外見の華やかさと、実生活の淋しさの落差というか、ホイットニー・ヒューストンと、いやもう、ダブってしまうのだ。

おじさん、ともに、何となく生い立ちにある陰影を思ってしまう。

そう言えば、彼女、時々、おじさんたちがクラブを引き上げる時、いきなり、理由もなく涙ぐんだことがあったなあ。

その涙の意味を考えたりする。

やはり、彼女には、チワワでない、寄り添えるボディガードが必要だったのかもしれない。

おじさん、映画『ボディガード』のサントラ盤を取り出して、もう一度、【オールウェイズ・ラヴ・ユー】を聴いてみたい気になった。

ホイットニー・ヒューストンを偲んで、そして、多くの寂しい女性に、ボディガードが必要なことを考えながら…。


※アルバム『ホイットニー・ヒューストン』は、彼女のデビューアルバムです。

もし、『オールウェイズ・ラヴ・ユー』を聴かれるなら、映画『ボディガード』のサントラ盤でお聴きください。

  ※ヤフーブログにて 2012年2月15日 アップ

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