作家 高村 薫像を抱かせる小説 『マークスの山』より ☆☆☆

『マークスの山』 著者 高村 薫 

女流推理小説家の双璧と言えば、今では、この高村薫さんと宮部みゆきさんと言って良いだろう。

おじさんも、この二人の大ファンだ。

全く、作風は対照的だが、双方、個性的で読む者を飽きさせない。

また、何を読んでもはずれがなく、お金をドブに捨てることのない作家である。

宮部みゆきさんの方は、どんな私生活を過ごしているのか、例えば、失礼だが、素朴な良いおばさんという印象を受け、健気に、独り身?ながら、家事をこまめにしているような、そう、おじさんの日常戦場でイメージできるのだが、高村薫さんの方は得体がしれない。

おじさんのように、ありふれた人生を歩んできた人間にとって、何か、とてつもない異なった世界で生きている人ではないかなと感じたりする。

そう、高めの女性なのかもしれない。

ここからは、おじさんの想像。

高村薫さんの経歴は知らないけれど、何故か、優秀な女性で、商社などで、男に伍しての有能さを発揮するものの、ビジネスに懸けているという感じではない。

しゃかりきになってキャアリアを目指しているのではなく、普段の職場では、朝定時の出勤から夕方定時の退社まで、そつなく能力を発揮して、そそくさと会社を出てしまう。

と言って、そのまま遊びに行くのではなく、ショッピングするのでもなく、一直線に家に戻り、おもむろにパソコンを立ち上げ、黙々と小説を書き、その世界に浸る、そんなイメージがある。

チョッと根暗に偏ったイメージかもしれないが、どうしても、こんなイメージを抱いてしまう。

違ったら、ごめんなさい。

どうして、こんなイメージを抱いてしまうのかと言えば、この作家が、いつも登場させる合田という本庁の刑事に、男の理想を抱いているような気がするからだ。

さしずめ、その別れた妻と言うのは、高村薫さんの心象かもしれない。

こんな極端な言い方をすれば、何言ってんのと叱られそうだが、こうも、この合田刑事と、それを生み出す作家の真情が、おじさんに、そんな高村薫像を抱かせる。

でも、恐ろしく切れる女性であり、とてつもなく、人生を知りきった女性なんだろう。

この作品は、推理小説と言うより、主人公の人生と、その心境を描きたいために、それが最も鋭角的に描写することができるものとして推理という形を選び、人間感情の修羅場である警察と言う場を道具立てに使ったのに過ぎないように思える。

概ね、この作家の作品は、事件よりも、その人間模様に焦点が置かれているようだ。

いつもの冷血スタイルの作家が、徹底的に、人間を原稿用紙の中で煮詰め尽くすのである。

今回の『マークスの山』。

ここでは、作者自身の心に住む、もう一人の誰かが描かれているように感じられる。

その理由は、読んで貰えば、理解されるのではと思う。


  ※ヤフーブログにて 2015年8月3日 アップ

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