旅客機についての薀蓄あれこれ 『旅客機の秘密』より ☆☆☆

『旅客機の秘密』 著者 日本博学倶楽部 


いやもう、ほぼ3ヶ月前、サンフランシスコ空港で、航空機の大きな事故が起きた。

韓国のインチョン国際空港からサンフランシスコに向かっていたアシアナ航空機だ。

ちょうど、空港に着陸しようとした瞬間、失敗し、オーバーランして炎上したのだ。

多数の死傷者が出た。

航空業界では、「魔の11分間」と呼ばれているフライト時間帯がある。

離陸時の3分間と着陸時の8分間に、航空機の重大事故の7割以上が集中して起こっているのだ。

その理由は、色々考えられているが、この時間帯は自動操縦がきかず、航空機の操縦は、機長や副機長の尽力による操縦に頼っている。

だから、操縦の負荷が集中するだけに、人為ミスが起きやすいと分析されている。

まあ、この11分間は、ハイテクに頼れない、機長の飛行操作の腕にかかっていると言う訳だ。

報道によると、今回の事故では、着陸寸前に、機長は携帯電話をかけていたらしく、操縦桿は、副機長が握っていた。

機長は超ベテランで、一方、副機長は、極めてフライト経験が乏しかったらしい。

いやはや、これは、この本を読んでのおじさんの推測だが、今回のケースでは、ひょっとして、この着陸において、機長は副機長に操縦訓練をしていたのではないだろうか? 

着陸時のサンフランシスコ空港の当時の天候は、極めて良好で、着陸には好条件であったらしい。

なのに、どうして、あれほど低空で着陸態勢に入ったのか? 

どうも、判然としない。

もちろん、機体自体の不具合は考えられる。

しかし、B777という機種は、これまで重大事故を起こしたことのない、極めて安定感のある航空機だ。

ただし、乗客を多く運ぶために、おじさん同様、胴長なのである。

ということは、尻モチも付きやすいということだ。

今回の事故でも、機体後部が路面と接触し、機体は滑走路上でアンコントロールの状態になる。

そして、くるくると回転し、滑走路をコースアウトしてしまうのだ。

さて、航空機に搭乗していて、こんな経験はないだろうか? 

「今回の機長のランディングは、いやに荒っぽいな」と感じる時があることだ。

事情が分らないため、とにかく、おじさんたちは、乱暴な操縦だなとか、操縦技術が未熟だと思って、乗客同士で毒づいていることがよくある。

ところが、考えてみれば、おじさんたちが通勤に使っている電車ではあるまいし、航空機の操縦に、丁寧だとか荒っぽいとかいうことがあろうはずがない。

極端に乗客が体感するほど、上手いとか下手とかという技術的な差があるはずもない。

この本によれば、厳寒地での雪や雨などで滑走路が滑りやすいと判断した場合には、敢えて、ドシンと若干尻モチを付くような形で着地するらしい。

通常、飛行機は上空50フィート(約15m)くらいから着陸アプローチに入り、大体、機種を3度に上げた状態で、滑走路にランディングする。

まず、後輪が着地し、ほどなくして、前輪も着地する。

航空機のブレーキは、後輪着地後、主翼のスポイラーと呼ばれる部分が立ち上がり、エンジンが逆噴射することにより、機体を停止状態に導く。

後輪のブレーキが作動するのは、一番最後だ。

メカニズム的には、着地により、後輪タイヤに強い荷重がかかると、それを感知することで、主翼のスポイラーという部分が立ち上がり、エアーブレーキの役割が果たされる。

同時に、エンジンが逆噴射することで、さらに速度が落ちるのだ。

車輪が地面に強く押し付けられ、大きな荷重がかからないと、これら一連のシステムが作動しないことになっている。

だから、路面が滑りやすい場合には、敢えて、より後輪に強い圧力がかかるようにランディングするのだ。

これが、ドスンという降り方になる。

技術が未熟なのではなく、技術の必要な操縦法なのだ。

当時、サンフランシスコ空港は、天候に恵まれていた。

まさに、このランディング訓練には最適な状況だったのだ。

超ベテランの機長が教官で、まだ飛行時間の少ない副機長が訓練生だ。

そして、訓練が実施された。

着地の衝撃を強くするため、普段よりも機首を高く持ち上げ、低空からの強引なランディングを試みる。

他の機種よりも、胴体の長い機体も災いした。

不幸にも、気づいた時には、機体の後部は路面と接触してしまっていたのだろう。

以降の顛末は前述の通りだ。

機体はコントロールを失い、迷走してしまう。

いやはや、ここに書いた事故の原因については、おじさんの、何ら根拠のない勝手な推測に過ぎない。

今後、時間をかけて、その真相は明らかにされることだろう。

まあ、おじさんの言いたかったのは、この本を読めば、ズブの素人のおじさんでも、その本来の真相はともかく、このような事故の道筋がイメージできるようになるということだ。

航空機についての俄か勉強には最適だ。

ちなみに、今回の事故で亡くなられたのは、後部座席に搭乗されていた、まだ若い中国の留学生の女性だということだ。

誠に気の毒で、痛ましい限りである。

この本によると、統計的には、重大な事故が起こった場合、後部座席の方が生還率は高まると言う。

今回の事故は、その例外となった訳だ。

座席は、機首の方から、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスという形で配席されている。

ということは、エコノミークラスの方が、あくまで相対的な話しだが、重大な事故が起こった場合、生還の可能性は高いと言える。

どうも、おじさんたちは、航空機が、空中を飛び、地に足が着かないという理由から、必要以上に事故を恐れる。

存外、航空機は、他の乗り物と比べても安全な移動手段なのだ。

まず、事故の起こる可能性が低いということ、さらに、1回の搭乗で乗客が死亡する確率は8百万分の1の確率だ。

これは、1日に1回航空機に乗ったとして、2万1千年間に1回事故と遭遇するという計算になる。

あくまで、統計による確率論ではあるけれど…。

いやはや、いささか、暗い話題に偏り過ぎたようである。

もちろん、この本は、航空機の事故や、その究明について書かれた本ではない。

おじさんたちが知らない航空機全般の意外な盲点について教えてくれるのだ。

いやはや、例えば、、航空機がバックできないということを、ご存じだろうか? 

空港などで、航空機が、乗客の乗降や整備のために、所定の場所にバックして待機するには、わざわざ、「トーイングカー(牽引車)」の力を借りなければならない。

その時の航空機のエンジン音は、ただ、アイドリングしているだけである。

航空機は前には滅法強いが、反面、後ろへは、からっきしダメなのである。

ところで、話しは変わるが、キャビンアテンダントの座席は、どこにあるのかご存じだろうか? 

あるいは、キャビンアテンダントが座席に着いているのを見たことがあるだろうか? 

実は、ちゃんとした座席は存在しないのだ。

ただし、離着陸時には、いかなキャビンアテンダントでも、シートベルトを装着して、安全姿勢で着席しなければならない。

実は、その際には、乗降ドアの近くにあるジャンピングシートに、一時的に着座する。

このシートは跳ね上げ式になっていて、普段は、壁面に収納されているのだ。

キャビンアテンダントが着座すれば、ちょうど、客席の最前列と、向かい合って対面する形になる。

「見合いシート」と呼ばれているそうだ。

いやもう、この最前列に座席を予約できれば、おじさんたち男どもは、この上なくラッキーという訳だ。

キャビンアテンダントと、しばしの間、見つめ合うことになるのだ。

実は、おじさん、一度だけ、札幌から関西空港への帰りに、JALで、この幸運に遭遇し、幸せな時間を過ごしたことがある。

やはり、キャビンアテンダントと言えども、離着陸時には、表情に、心なしか緊張感が走る。

それが、また、良いのだ。

とは言え、実を言えば、おじさんは、ずっと視線のやりどころに困っていた。

コホン!

さて次は、いささか、びろうな話しだが、トイレの後始末はどうなっているのだろうか? 

航空機は重量を嫌うため、現在は、水を使わないバキューム方式で吸引し、機体末尾のタンクに貯められる。

昔は、たれ流し。

そのまま、こっそり空中散布していたらしい。

「あれ、空から何か落ちてきたよ!」、「フ~ン?」という具合で、時には、鳥の糞と思っていたものが、人糞だったかもしれない。

いやあ、失礼!

とにもかくにも、この本は、このように様々な角度から航空機の知られざる秘密について、おじさんたちに教えてくれるのだ。 

…現在、現役の主な航空機の機種とその特徴、航空機のハイテクメカとその解説、離着陸から安定巡航まで、航空機運航における様々な知識、航空機の安全性とその取り組み、機長やキャビンアテンダントなどクルーの勤務実態、機内食やエンターティメントなどの乗客への様々なサービス、LCCをはじめ航空業界の現状など、その内容は、驚く程に多様で豊富だ。

いやもう、一読すれば、航空機による旅が、もっと快適に楽しくなるのに違いない。

  ※ヤフーブログにて 2013年10月9日 アップ

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